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8月3日 テーマ:「和ジャズ再評価
           〜忘れられたドラマー白木秀雄」
     ゲスト:FMK 桐原直岐
     ナビゲーター:伊井純子
 

BGM(Drum Boogie/ジョージ川口&ビック・フォア・プラス・ワン)

伊井:早速聴こえてきましたね。
今日のニュースピックアップは「和ジャズ再評価〜忘れられたドラマー白木秀雄」というテーマで、スタジオにはFMK桐原直岐に入ってもらった。
どうぞよろしくお願いします。
桐原:よろしくお願いします。

伊井:かっこいいジャズですね。
桐原:そうですね。この曲はジョージ川口が昭和34年に出したアルバム「オンステージ!ビッグ・フォア・プラス1」から「Drum Boogie」という曲である。
この曲はジョージ川口が必ずアンコールで演奏した曲でドラムソロが延々と流れる。20年ぐらい前、夜のテレビなどでよく流れていたので、その姿を見たことがある人もいるかもしれない。
この演奏には、若き日の渡辺貞夫が参加している。

伊井:なるほど。ジャズというと特殊な趣味というか、一般的ではない音楽のジャンルと捉えている人が結構いるような気がするが、今日は「和ジャズ」ということで日本人のジャズにスポットを当てて話を伺っていく。
そもそも「和ジャズ」は、どんなふうに分類されるのか?
桐原:昭和30年代〜40年代の日本のジャズメンが作ったレコードというのが今、脚光を浴びていて90年代半ばぐらいから国内のいろいろなメーカーから復刻されていたが、昨年暮れからは中古版で私が見たこともないような「幻の名盤」といわれるようなものが次々に復刻が始まっている。

伊井:今、「私も見たことがない」という言葉が出たが、しばらく前に「マイルス・デービス」なども紹介していただいたように、実は桐原さんは非常なジャズ音楽のコレクターで今日BGMでかける曲は全部自前で持ってきていただいたものである。中古の市場にも出回ってきているのか?
桐原:はい。私も見たことがなかった。

伊井:どういうことなのでしょう?
やはりその当時、流通はしていたが、どうしても日本のジャズということで一時期、欧米のジャズの方が素晴らしいものだと錯覚のような、そういうものがあったんでしょうか。どうしても忘れられた存在になってしまっていて、中古市場にもなかなか出てこないという状況になったんだろうと思う。

伊井:そして再び注目が集まってきた日本のジャズ。つまり「和ジャズ」の中でも偉大なドラマーとか和ジャズ最強の天才ドラマー等々、天才の名をほしいままにした伝説のドラマーがいたということですね?
桐原:はい。その人が今、流れているジョージ川口と並んで非常にその当時は評価されていた、今からお届けする白木秀雄という方である。

BGM(ステレオ・ドラム/白木秀雄)

桐原:今、聴いていただくとわかるが、私はジャズだけではなくクラブミュージックも聴いているが、クラブミュージックを聴いている側からすると、これはブレイクビーツとして使える!と思うぐらい非常に面白い演奏である。

伊井:以前、このコーナーで、DJクラッシュにインタビューしたことがあったが、彼も、結構日本人であるということを意識したような音づくりをしていた。それから推察すると、(和ジャズは)今のDJたちにも興味をわかせる音楽なわけだ。
桐原:そうですね。この方、実は昭和8年の元日、東京神田の生まれ。小さい頃から太鼓が好きで4歳のときに神田明神のお祭りで山車で太鼓を叩いていたほど卓抜だったんですね。

伊井:生粋の江戸っ子なんですね。
桐原:そうですね。そして、なんと東京芸大の打楽器科に進学をしている。

伊井:ジャズの道に進むにしても音楽の基礎はしっかりしてなくちゃいけない、という考えで、崇高な志の方であったようだ。
桐原:そうですね。

伊井:この人に関しては、まだ他にもいろいろエピソードが残っているようだ。
桐原:はい。石原裕次郎といえば「嵐を呼ぶ男」。
おいらはドラマ〜♪というあの曲のドラムの吹き替えも白木秀雄で、実際本人も映画の一番最後のところでオーケストラのシーンがあるが、その一員として出演している。

伊井:では当時の一大人気者の石原裕次郎の映画にも出てきて、そのかっこいいドラミングを披露していたということなんですね。
桐原:そうですね。

伊井:また奥さんも非常に有名な方である。
桐原:女優の水谷良重(みずたによしえ)さん。後の水谷八重子だが、その方と結婚した当時が一番人気絶頂だったが4年後に破局してしまった。
そして一番問題だったのが薬物中毒に溺れてしまったこと。
それによって仕事がどんどん遠のいていって、自身の白木秀雄クインテットというのが解散してしまった。
最後は39歳で47年になくなっているが一説には自殺という話もある。
結果、非業の死を遂げたというところで、ジャズ史の中で今まで忘れ去られていたということになってしまったわけである。

伊井:薬物中毒であったということも、それにプラスしてなかなか思い出されない雰囲気もあっただろうが、白木秀雄クインテット、このメンバーもかなり素晴らしい面々でしたよね。
桐原:そうですね。トランペットに実は日野皓正(ひのてるまさ)が一時期在籍していたこともあって、この日野皓正が「アロン・アロン・アンド・アローン」という曲があるが、この曲はクインテットで始めてやって、それを聴いてブルー・ミッチェルというトランペッターがジャズの名門レーベル「ブルーノート」という、そこからその曲をその当時で既にやっていた、吹いていたということである。

伊井:それまではジャズの本場のものを日本人がやるというスタイルだったのが、逆に向こうに影響していた、与えていたということでしょうか?
桐原:そうですね。
その後、日野皓正はベルリンに行って、非常に世界的な活躍をするようになっていくわけだが、そういったきっかけにもなっている。

伊井:再評価が今なされようとしているが、音楽ファンは再評価というような堅苦しいことではなく、やっぱり「かっこいいから」というところから入る人もいるでしょうからね。
桐原:さっきのクラブミュージックという話があったが、なぜこの白木秀雄の再評価が始まったかというと、今からお聞かせする「祭りの幻想」という曲があって、この曲がドイツのクラブDJのコンピレーションアルバムに入ったことによって再評価が始まった。

BGM(祭りの幻想/白木秀雄クインテット&スリー琴ガールズ)

この曲が昭和40年のアルバム「さくら さくら」に入っている「祭りの幻想」だが、このアルバム、実はベルリンで収録されたものである。

伊井:ジャケットも着物を着た琴奏者プラス、ジャズメンたちである。
桐原:昭和40年にベルリン・ジャズ・フェスティバルというのがあって、そこにこの人たちや琴も含めた形で全員で出て賞賛を浴びてこのアルバムができた。
このアルバムの原盤がドイツだったので、そのドイツの原盤をJAZZNOVA(ジャザノバ)というクラブDJが見つけて、それからコンピアルバムに収録したことによって逆輸入の形で日本で再評価が始まったというわけである。

伊井:桐原さんは(純)邦楽にも造詣が深いが、こんなかっこいいジャズアレンジなんてないですよね。
桐原:そうですね。
冒頭に琴(をもってくるの)は、どうしても、なんか邦楽っぽい、媚びたのかな、というふうに思ったが、曲に入っていくとどんどん、どんどんモーダルな、いわゆるジャズものになっていく。
このミックスされた感じというのは、普通では今まで私は聞いたことがなかった。

伊井:多分、外国の人がやろうとしてもこんなふうにはできないだろうというところが、やはりこの「さくら さくら」の醍醐味でしょうね。
桐原:はい。そうですね。

伊井:今回、桐原さんに和ジャス再評価で出ていただくにあたっては、私もにわか勉強させていただいたが、様々なCDがあって非常に楽しかった。
私の中でも「あっ!ジャズをもう一度楽しみたいな」という思いが生まれたので、これを機会に、今日番組を聴いてくださった方も「和ジャズ」という観点からCD屋さんを覗いてみると楽しいかもしれません。
桐原:ジャズも今は安く出ているので、何でもいいので、いわゆる名盤ってやつを手にとってみると楽しい一日が過ごせるんじゃないかなと思う。

伊井:熱い夏の一日、夏休みの一日にクールなジャズをいかがでしょうか?
ということで今日は忘れられたドラマー白木秀雄和・ジャズ再評価ということで桐原さんに話を伺った。
どうもありがとうございました。
桐原:ありがとうございました。
伊井:またお願いします。

 



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